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リアスの風〔第3回〕

動植物と裁判


アマミノクロウサギなど希少動物が原告となって奄美大島のゴルフ場開発許可の取消しを求める訴訟が提起されたことを、記憶されている方もいるでしょう。平成13年1月に鹿児島地裁において判決が言い渡された、奄美自然の権利訴訟です(結論は原告らの敗訴)。

動物を原告とした点は奇異に映りますが(弁護団長より、裁判所も当初「アマミノクロウサギ、出廷されたい。」と掲示板に張る、「公示送達」手続きをとったと聞きました。)、昨年も、沖縄の普天間飛行場代替施設の建設について、原告「ジュゴン」が米国文化財保護法違反の確認を求めサンフランシスコ連邦地裁に提訴していた事件について、米国防総省に勝訴した事件が話題になりました。

動物が当事者として裁判にかかわる、これはごく新しい考え方なのかな、と思っていましたが、大昔にさかのぼると、動物のみならず植物に対してまで訴えを起こし、刑罰に処した例が多いことを知り驚きました。

古代英国では人が木から落ちて死ねばその木を斬罪に処する法があり、ローマの十二表法では人を噛んだ犬は被害者に引き渡しその判断に委ねる規定があり、中世フランスで裁判所が人家に侵入する毛虫に退去命令を出したものの、従わせる方法なく困っていたら蝶となって飛び立った、といった具合です(穂積陳重「法窓夜話」)。

古代から訴えられてばかりいた動物が、現代では人間の自然破壊を訴える。社会の要請が変わってきたことを示しています。

(平成21年8月18日の河北新報リアスの風に掲載したもの)

2009年08月18日

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